古物商許可取得後の義務

古物商許可を取得すると古物営業ができるようになりますが、それと同時に様々な義務が発生します。

具体的には以下の義務を履行する必要があります。

申請した警察署からも説明があると思いますが、必ず営業前に確認するようにしてください。

変更の届出

営業内容に変更があった場合は変更届を提出する必要があります。

届け出が必要な変更事項
  • 営業者の氏名または名称および住所、法人の場合はその代表者の氏名
  • 営業所または古物市場の名称および所在地
  • 営業所または古物市場ごとに取り扱う古物の区分 
  • 管理者の氏名および住所
  • 古物商の場合に行商をするかどうかの別
  • 古物商でホームページを利用するかどうかの別
  • 古物商でホームページを利用している場合のURL
  • 法人の場合はその役員の氏名および住所

※注意:個人から法人への切り替えは法人として新たに古物商許可を取得する必要があります。

標識の掲示

古物商は、営業所の見えやすい場所に標識を掲示する義務があります。

この標識は、取引相手が古物商の許可を受けているかどうかを容易に識別することができるようにして、古物商の無許可営業を排除し、健全な古物営業を図ろうとするものです。

標識の様式

古物商標識

「標識」は、古物営業法施行規則第11条、別記様式第13号に様式が定められています。

材質は、金属、プラスチックまたはこれらと同程度の耐久性を有するもの。

色は、紺色地に白文字とする。

右上の番号には12桁の許可証の番号を入れる。

大きさは、縦8センチメートル、横16センチメートル。

「○○○商」の「○○○」部分には、許可取得している主として取り扱う古物を記載する。

  • 美術品類:「美術品商」
  • 衣類:「衣類商」
  • 時計・宝飾品類:「時計・宝飾品商」
  • 自動車:「自動車商」
  • 自動二輪車及び原動機付自転車:「オートバイ商」
  • 自転車類:「自転車商」
  • 写真機類:「写真機商」
  • 事務機器類:「事務機器商」
  • 機械工具類:「機械工具商」
  • 道具類:「道具商」
  • 皮革・ゴム製品類:「皮革・ゴム製品商」
  • 書籍:「書籍商」
  • 金券類:「チケット商」

下欄には、古物商の氏名または名称を記載する。

古物営業法施行規則第11条、別記様式第13号

帳簿の記録

古物商は、取引した物品の中に不正品があった場合にその履歴を追うため、取引の記録を帳簿へ記載しておくことになっています。

「帳簿」は、古物営業法施行規則第17条、別記様式第15号及び別記様式第16号に様式が定められています。

必ずこの様式を使わなければならないわけではありませんが、記録すべき項目は法律で定められています。

決められた項目を盛り込んだ使いやすいフォーマットを用意することをおすすめします。

※当事務所にご依頼いただいた際は、使いやすさを重視して作成した帳簿を無料でお渡ししています。

帳簿の記載事項

帳簿には「受入れ(仕入)」と「払出し(販売)」それぞれについて各項目を記入します。

記録しておくべき項目は以下の通りです。

  • 取引年月日
  • 区分(買受、委託販売、交換)
  • 古物の品目、数量
  • 古物の特徴(古物の外観、状態、形式、登録番号等古物を特定できる内容)
  • 取引相手の氏名、住所、職業、年齢
  • 本人確認の方法

取引相手の職業は、「会社員」や「自営業」等だけでなく、勤務先まで確認する必要があります。

記録義務の免除されるケース

古物取引では原則、帳簿への記録が必要ですが、一定金額以下、一定の品目であれば、法律上記録が免除される場合があります。

以下の表に記録が免除されるものを除き、記録義務のある古物をまとめました。

対価の総額買取販売
1万円未満
・自動二輪車及び原動付自転車
※部分品を含む
・ゲームソフト
・CD、DVD、BDなど
・書籍
・自動二輪車及び原動付自転車
※部分品を除く
1万円以上・すべての古物・美術品類
・時計・宝飾品類
・自動車
※部分品を含む
・自動二輪車及び原動付自転車
※部分品を含む

相手方の確認義務

古物商は、古物を買い受けるときに、取引の相手方の住所、氏名、職業、年齢を確認する必要があります。

この相手方の確認は1回の買い取り総額が1万円以上の場合に必要となります。

ただし、換金目的の窃盗や万引きが多い以下の物品については買い取り総額が1万円未満の場合でも相手方の確認が必要です。

金額に関わらず身元確認が必要な物品
  • ゲームソフト
  • 映画、音楽を記録したCD、DVD、Blu-ray Discなど
  • 書籍
  • 自動二輪車、原動機付自転車

非対面取引における確認の方法

非対面取引においても、相手方の確認を行う必要があります。

印鑑登録証明を利用した方法や本人限定郵便を利用した方法、ソフトウェアや電子証明書を利用した方法などが挙げられます。

相手方の確認義務については以下で更に詳しく解説しています。

古物商許可の本人確認義務(具体的な方法を解説)

インターネットを利用した取引の際の表示義務

古物商は、ホームページ上に「許可を受けた公安委員会名」、「許可証番号」、「氏名又は名称」を表示しなければなりません。

同様にオークションサイトやフリマアプリを利用する場合も、古物商であることを表示する必要があります。

まとめ

以上が古物商許可取得後の義務についての解説です。

古物商許可では犯罪や盗品の市場流出を防ぐため、多くの義務が発生します。

細かい点も多いため、分からないことや不安な点があれば、許可を取得する段階から行政書士に依頼することで包括的にサポートして貰うことが可能です。

当事務所でも古物商許可取得の面倒な手続きをお客様に代わって行うサービスを提供しております。

古物商許可取得をお考えの際は、まずはお気軽にご相談ください。

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